売れる通販広告制作セミナー 吉川英之

第10回 売れる商品の作り方

■完成品か未完成か

弊社に新商品の通販広告制作の依頼をされる段階ではほぼ商品が内容(成分や訴求ポイント)や価格が完成されている場合、またはすでに販売実績ありの商品と、だいたいはできているが、決定ではない場合がある。この場合は広告を作りながら、市場動向を見ながら、利益構造を考えながら作り上げていく感じになる。

どちらがいいかというと、断然後者の方(未完成の方)が、売れる広告が作りやすい。売れる表現や仕掛けなどが作りやすいからだ。

 

■パクリか新企画商品か

商品の区分から見ると、市場にすでに類似商品があり、その商品が売れているから、柳の下のドジョウ、二匹目のドジョウを、と発売する商品。新しい成分やコンセプト、まだ市場に悩みがない新商品。大きく分けるとこの2つ。 前者はヒット商品を限りなくパクリ、売っていく方法。後者は、他にはない新しさをポイントに売っていく方法となる。

どちらがいいかというと、前者の方が売りやすいのは確かだが、先行商品より価格や内容、広告出稿量など優位性が何かないと、逆に先行商品の支援になりかねない。後者は、かなりの企業パワーがないと難しい。なぜなら世の中、新しいものに対して受け入れるのに時間がかかるからだ。PRやら広告やらバンバンやるか、地道に口コミを活用していくかだ。

 

■通販商品はプロダクトアウトではなく、アドアウトで!

商品の多くは、こんな画期的な技術ができたから、商品を作ろう、とか、新しい成分がみつかったから、それで商品を作ろう、とか商品開発に携わる人たちの手で作られている。商品開発の人は、こういう特徴があるから売れるはずだ、こんな効果があるから売れるはずだ、という思いで商品を作っている。だが、ここにズレがある。その特徴も効果も広告でうたえなければ意味がないし、そもそもその特徴や効果が受け入れられるか、どうかだ。

ある会社であった例だが、商品開発担当の方から、すばらしい美容ドリンクができたので広告したい、と。モニターテストでは実際に効果があったという声が多かったので、商品開発担当者も自信満々。競合商品より効果がありかなりいいし、アレにもコレにも効きますよ、という。残念ながら、この商品は商品特徴を最大限表現した広告作りはできないのだった。なぜなら薬事法という規制があるからだ。どんなに効果があっても、表現できないのなら、広告上では効果がないものと同じだ。

この教訓として、通販商品は、広告でどのような商品特徴をうたうか、をまず決めて商品作りにいかした方が効率的だ。だから、私は新商品販売の相談を受けた時には、アドアウトで商品を作っていくことをおすすめする。

 

■売れる商品づくりはそれぞれの会社によって違う

「何か売れる商品ありませんか」と会う度に聞く人がいる。私は、「A社はこの商品が売れているけれど、A社だから売れている」と答える。 売れる商品というのは、それぞれの会社によって違うのだ。小さな会社は大会社がやっている手法で広告できるはずもなく、大きな会社は小さな会社の小回りの利いたやり方もできない。また、今までの実績や背景などによっても違ってくる。

だから売れる商品というのは、それぞれの会社により違うわけで、会社の強みや経営基盤に注目して商品づくりをした方がいい。